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日本の文化を味わい、世界の心を豊かにする箸 No.3

トヨタの生産システムと
幼児期より「箸と茶わんでの食事」の学習

トヨタ自動車は「良い車を早く、安くつくる」のが得意な会社だと思う。
そこにはムダをとことん排除する「ムダ取りの思想」が経営者から末端の作業者まで染み付いていると思う。

これは幼児期からの箸での食事が影響していると思えてならない。

食事を生産システムで考えると食器にある食物を、ちぎる、切るの「加工」と、 つかむ、刺す、寄せるの「積込」と口に入れる「運搬」のプロセスとなる。
それには「点と線と面」の道具が必要である。
ナイフ、フォークの世界では点のフォーク、線の道具はナイフ、面の道具はスプーンであり、 目的に応じ、持ち替えながら「加工、積込、運搬」をする。 箸の場合、たった2本の棒切れだけである。

例えば、朝ごはんで味噌汁、魚、豆腐を食べる時、いかにムダを省いているか考えてみよう。

  1. 道具を持ち替えるムダがない
    一見、早くて能率的にできると思われたアメリカ輸入のコンベアシステムが最近良くないと言われるようになった。
    テレビでも鳥取三洋がコンベアを廃止し、セル生産方式の変更をやっていた。
    ここ15年位で、大会社のほとんどはセル生産に変わった。
    コンベアは持ち替えるムダも多いのである。
    箸はセル生産方式に似て、持ちっ放しで持ち替えがない。
  2. 左手の茶わんは「積込、運搬」のムダがない
    右手の箸で「加工、積込、運搬」をしながらも、 左手でごはんや味噌汁を目的地の口に近づけているので、物流のムダを激減させているのである。
  3. こぼすムダがない
    日本の幼児の成長には、3つのステップがある。
      A. 食べさせてもらう
      B. よだれかけを付け、自分で食べる
      C. よだれかけをはずし、こぼさず食べられるように躾られる。
    つまり、我々はこぼさないのが当たり前に育ってきた。 ところが西洋式の食事には大人でもよだれかけが付いていてビックリした。
    また、東南アジアのある社員食堂では、床に食べカスが落ちており、掃除も大変だと聞いた。
    終身雇用のトヨタ自動車なら、例えビス1本でも落としたら、 「なぜ、落とした?」「なぜ、落ちないやり方を考えられないんだ?」と、叱られながら、躾られるだろう。

平成14年7月

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