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箸とコンニャクの摩擦力実験記(2)

いろいろな箸は手に入った。
そこでコンニャクを用いた摩擦実験に移るのだが、 計算処理をするのに必要な摩擦係数の定義を忘れてしまっているかも知れないので復習しておこう。
(1)水平な面上にある10kgの重さのものを水平方向に2kgの力で動かすことが出来れば、 この物体と面の擦れる部分に最大2kgの抵抗が働いていたことがわかる。2を10で割ったものを摩擦係数という。

2÷10=0.2…摩擦係数

もし、4kgでやっと動けば

4÷10=0.4…摩擦係数
0.4は0.2より大きいから、摩擦がかなり大きくて動かしにくいということをうまく示しているので便利な係数である。

(2)文字を使って表わすとWkgのものがQkgで動けば、この比を μ として

さて、実験に入りたいがコンニャクを引っ張るバネばかりがない。ありあわせのもので再現性のある実験ができないものだろうか。
「できるぞ!」
下図のようにベニヤ板の上に箸を固定し、その上に載せたコンニャクが何度で傾いたとき滑り出すか調べればよい。
このとき
   コンニャクが箸を押し付ける力はWcosα
   下方にコンニャクを滑らせる力はWsinα
であるから


AとBを測れば摩擦係数が求まるので都合が良い。

(参考)サインコサインを忘れてしまった方のために

しかし、測定しているうち、再現性がおかしくなってきた。 コンニャクが次第に乾いてきて、濡れた時と摩擦が違ってきたからである。 食事時は濡れているから乾いたら意味がない。改めてコンニャクを濡らしてからすぐ測定することにした。 これを「箸摩擦力すべり角度測定法」と名づけた。誰でも簡単にすぐ出来るので確かめてみてください。
わかったことは
  • 塗った箸は竹や木の素材に比べ全て滑りやすかった。滑りにくいと表示のあった箸も似たりよったりであった。
  • デパートでコンニャクが滑りにくいと買った箸は確かに塗り箸に比べると滑りにくいが、素材の竹や木には負けた。デパートのものは竹に薄く表面処理がしてあるからだろう。
  • 黒壇は濡れると更に滑りやすくなった。木や竹の箸は乾いても濡れても同じであった。
詳しく知りたい人のために実験データを表にしておこう。

さらに知りたくなったこと
  1. 滑りにくく食に安全な塗料はないだろうか。
  2. 木や竹などの素材の中で最も摩擦の大きいものは何だろうか。
  3. 測定で使った竹の素材は100年以上経ったものだという。
    「本当に100年以上か?」と聞いたところ「100年以上経った建物に使われていたのをものをもらって来たので間違いない」とのこと。
    では同じ竹の素材でも生に近い竹と100年以上経った竹と摩擦は異なってくるだろうか。
  4. なぜ売っている箸はほとんどが塗り箸なのか。 今までの測定結果からは塗っていない方が食べ易いと思うが…。
    「汚れが目立ち、変色するから…」がその理由の一つかも知れぬ。又
    「塗らなくては箸屋さんが商売できなくなる」または「美しい状態で使いたい」のかも知れない。 それなら食べる部分(つまり先の方だけ)のみ素材面を残し、他の部分は塗るようにしてみたらどうか。
この測定は食べる箸と摩擦との関係を調べるのが目的であった。 しかしこれにより「摩擦を世界最高」に、「最良の形状」に、そして「最高の指技」をみがいた場合、どんなことができるだろうかの話に発展した。
それを何から学ぶか?前にも触れたが、自然の中にお手本を探して鳥のクチバシから学ぼう。
たとえば、鵜やハチドリは滑りやすい魚を右図のように咥えてしまうじゃないか。 それは恐らく、非常に滑りにくい構造になっているのではないだろうか。まずは鳥のクチバシをよく調べよう、となった。

平成17年3月

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